リングの足跡
WBA、IBF世界Jウェルター級チャンピオン
アーロン・プライアー(米)
ボクシングの異名で「野獣」とか「野生」と呼ばれてリングに上がってきたボクサーは知っているが
もっともそれに近い動物的なボクサーは誰かと聞かれればアーロン・プライアーと答える。
プライアーにはボクシングの型等というものは存在せず、荒々しい攻撃を仕掛ける猛烈なファイター
である。
デビュー以来23連勝(21KO)15連続KOの記録をひっさげて世界Jウェルター級史上屈指の
名王者アントニオ・セルバンテスに1990年に挑戦。これを4回KOに下してWBA世界Jウェルタ
ー級チャンピオンの座に着いた。
型破りのボクシングはバランスの悪さにつながる。1992年7月には日本の亀田昭雄の挑戦を受け
初回にバランスの悪さを疲れてダウン。しかし、まるで何事もなかったように立ち上がって亀田を滅多
打ち。KOに葬っている。プライアーはタフである。ダウンするのはバランスの悪さにある。こんなプ
ライアーは動物的な感で相手のパンチを外して、相手が倒れるまで徹底して打ちまくるファイターなの
である。
そんなプライアーに挑戦してきたのは正反対の技巧派ボクサー、ニカラグアの貴公子の異名をとるアレ
クシス・アルゲリョだった。アルゲリョはフェザー、Jライト、ライトの3階級を制覇し4階級目の標
的にプライアーを選んだ。アルゲリョのベストパンチを食ってもプライアーは動ぜず、中盤以降、アル
ゲリョのお株を奪うアウトボクシングに作戦を変えてきた。何とも不格好なスタイルだが、これに翻弄
されたアルゲリョは14回にプライアーの猛攻を受けて失神。
翌年も再戦したが再びアルゲリョを10ラウンドに葬り4冠の夢をうち砕いている。このアルゲリョ
戦を最後に新興団体のIBFにタイトルを乗り換え2度ほど防衛したが、リング外の不祥事で麻薬にお
ぼれついにはバンタム級までやせ細ろえてしまった。
リングを2年5ヶ月も遠ざかり、カムバック戦で中堅選手のボビー・ジョー・ヤングと対戦したプラ
イアーはかつての動物的な動きが無くなり、生彩を欠いた試合で7ラウンドにダウンを奪われる。立ち
上がる余力は残されていたが、不可解にも片膝をキャンバスにつき胸に十字架をきってレフリーの10
カウントを聞いた。35連勝無敗の男の何とも不可解な初黒星であった。
その後、2度ほどリングに上がったが生彩を欠き1990年を最後にプライアーはリングに上がるこ
とはなかった。戦績は37勝(33KO)1敗。私はプライアー引退の後、彼以上の動物に近いボクサ
ーを見たことがない・・・
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