あしたのジョー 

ライバル力石

訪問者。Hideyo Inabaさん作。

力石が因縁の相手、矢吹丈と対戦するには越えなくてはならぬ問題があった。ウェート差だ。
フェザー級でもぎりぎりの減量をしてきた力石にとってジョーのいるバンタムに体重を落とすのは至難の
業だった。部屋を閉め切り、かっぱを着込んでストーブをたく。まさにサウナ状態。ウェートにもっとも
左右される水分はいっさい取らず、毎日、トマト一個の食事で激しいトレーニングを続けた。減量苦から
の逃避を避けた力石は、白木ジムの地下室に寝泊まりして外からカギをかけた。そのひからびた体でジョ
ーと戦うというのだ。何という執念。
 力石は乾ききった体に耐えきれず地下室の扉をたたき壊し、水を求めて暴れた。しかし、水道のすべて
に針金がまかれ水は飲めない。それは葉子のやったことだ。いつか力石が耐えかねて水をほしがる。その
とき乾ききった体に冷たい水は毒。葉子はコップ一杯の白湯を力石は手渡した。
そのコップ一杯の水を捨てた力石は不適に笑い。「きざな言い方ですけど、貴方の涙を見て、これでジョ
ーと戦う決心が、更に固まりました。このやせ細ろえた体でジョーと打ち合って見せます」
 力石は耐え抜いた。ジョー戦うために。
 一方、ジョーは力石がバンタム級転向で比国のパンチョ・レオ戦で見せた大振りのアッパー封じの練習
をこなしてきた。力石のアッパーはジョーのクロスを封じる作戦だ。これを攻略する練習を段平、西と必
死に練習。こちらも対力石戦の練習は万全だった。
 試合は会場を満員にし、「史上最高の8回戦」と釘討たれた。力石、ジョーはリングに上がり、ゴング
を待った。
 ゴングが鳴るとジョーは得意の両手ぶらり戦法に出た。力石は予想通り、アッパー攻撃の連打。これを
ジョーはスウェー・バックで外し、すきを見てストレートで反撃。こんな展開が続きジョー優勢で第一ラ
ウンド終了。
しかし、丈は浮かぬ顔。スウェーからの反撃からではダメージが半減。対する力石のアッパーは当たれば
大砲。ジョーは力石のパンチを外して中に入り、一転して左右のフックのつるべ討ちのダメージ戦法。
 やせ細ろえた体で力石は反撃に転じる。ジョーが入ってくるとストレート攻撃に転じ、カウンター攻撃。
ジョーは力石の猛攻を受けてダウンの連続。そして力石の大砲アッパーがジョーの顎に炸裂。もはや勝負
が見えたかのように試合は一方的になった。
 第6ラウンド、それでもあきらめないジョーはなりふり構わず大振りのフックを振り回す。これを外し
損ねた力石がテンプルにフックを浴びる。力石、この試合初めてのダウン。
 この際、ロープに後頭部を強く打ち付けて脳しんとうを起こした。かろうじて立ち上がった力石の戦法
はジョー得意の両手ぶらり戦法。力石はウルフ戦の再現をねらっていた。ジョーが左を討ってきたところ
を払いのけ左のトリプルクロスを打つつもりだ。ジョーもこれに対抗して両手ぶらり戦法。お互い、にら
み合ったまま動かない。そして最終8ラウンドがやってきた。
 このままにらみ続ければ判定で敗れることを焦ったジョーは打って出た。左を出し、力石の右を払いの
け右のダブルクロスで勝負をかけた。これを読んでいた力石はジョーのパンチを外して必殺のアッパー。
これを受けたジョーは吹っ飛んでダウン。立ち上がろうとするが10カウント内に立ち上がることは出来
なかった。
 因縁の対決は力石の勝利。試合終了後、ジョーは「まいったぜ。あそこで右のアッパーが来るとはさす
が力石だ」と言って握手を求めようとすると力石はそのまま崩れ落ちる。
 第6ラウンド、ジョーが放ったテンプルへのフック、並びにダウンした際に後頭部を強打した事による
脳内出血。一度も意思気を回復しないまま、この世を去ってしまうのである。
 ジョーとの対決に決着を付けた力石は、燃え尽きて消え去っていく・・・
無冠の帝王カーロス・リベラへ続く

拳キチ伝言板

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